版木画家、中島通善の木版画作品の世界をお楽しみ下さい。

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ルーブルから戻って

 大震災後に残した大きな問題は、あらゆることが簡単には信じられなくなったことだ。信じられるのは幼児の顔ぐらいで、マスコミ・政治家・役人・業界・宣伝CMからドラマの時代考証に至るまで、言っていること書かれてあること、表示されていること、笑っている顔まで、ひとまず疑って警戒してみなくてはならなくなってしまった。これは反面、用心を深め自分で見極める意味では良いとも受け取れようが、一度信じられなくなったことは、なかなか回復しがたい。いいかげん嘘や隠し立てをつづけないで、日本人よまっとうになれといっても聴く耳を持たぬだろうが、困った時ほど正直がいちばんなのだ! 

 かつて日本人は正直で清潔で勇気あると言われた。「自己を下賎醜悪にしてまで存在を続けていく必要がどこにあろうか!?」(荷風)、人は生きているうちから忘れられていくものだ。

 さて、12月8日から11日まで、パリのルーブル美術館内の広いフロアで、ソシエテ・ナショナル・デ・ボザールの展覧会でした。私には壁面12mもいただき12点もの作品を飾っていただき、日本からもわざわざ駆けつけてくださった皆様、パリ在住の皆様、ルーブルならびフランス関係者の皆様に深くお礼申し上げます。パリ在住の若い日本人女性の中には涙を流して見てくださった方もおられ、束の間でも「日本」を感じていただき、おまけに賞まで贈っていただきありがとうございました。

 ルーブルのあと、私の作品は、1月にはパリ日本文化会館、5月には、パリ郊外フォンテーヌブローでも展示してくださるそうです。現地の斉藤しおりさんとフランソワ氏ご夫妻には、またお世話になり改めて感謝申し上げます。

2011年12月 天皇誕生日 中島通善



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